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①近未来小説「円高の頃は、まだ、よかった・・・」その1 [小説]

夏の暑さが戻ってきました。そこで、ちょっと涼しくなる怖い話を・・・

といっても「怪談」では、ありません。ごく近い将来の日本を舞台にした小説です。

ここからは、あくまで「小説」で実際に起こるということを予言した類のものではありませんので・・・

その前に今朝の袋田小学校の様子を・・・

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↑ 久慈の杜100km徒歩の旅の一行は朝6時にラジオ体操をして出発しました。
先日紹介した諏訪神社の杜が、朝霧の中に浮かび上がっています。

 
 小説 「円高の頃は、まだ、よかった・・・」その1

 エピローグ

昇(しょう)と潤子は、結婚13年目、都会の賃貸マンションで暮らしている。
昇はインターネット関係の会社で働いているが、個人や小規模な事業者のシステム管理が主な仕事なので、会社にいる時よりも、顧客巡りなど外回りの仕事がほとんどである。
顧客から突然パソコンのトラブルや設定などを頼まれることも多く、いつ、呼び出されるかわからない毎日だ。

こどもは杏子と千津子のふたり。6年生と幼稚園の年長であり、
4月にはそれぞれ中学校と小学校に入学する予定だ。
潤子は、千津子が小学校に入ったらパートで働こうかなどと考えていた。

しかし、2月18日に始まったあの出来事のせいで、この先どうやって生きていくかまったく不透明になってしまった。
そのあの出来事とは・・・

第一章 「春」  
 夕焼け

それは、何のまえぶれもなく訪れ、その原因は今もはっきりしない。
しかし、その始まりは2月18日だった。その日を境に日本の経済状況はまさに一変し、そこからはまさに坂を転げ落ちるようであった。

予兆はあっただろうし、政府もこのままではいけないと考えていたのだろうが、結局何も行わなかった。
「無策」とは、まさにこのことを言うのだろう。

昨年(平成23年)の夏「円」が一ドル75円台まで上がるいわゆる円高が加速した。
しかし、それは、円高でなくドル安であったというは誰にもわかっていたことである。

そうした円高傾向も収束し、平成24年のお正月は平穏なうちに迎えた。
昨年の秋に与野党が一致協力して震災の復興にあたるという大義名分のもとで発足した新政権であったが、衆議院の解散がいつあるかわからないという状況の中で、各党がそれぞれの政策を主張し、まとまって政策を実行するという体制にはならなかった。

そうそう、その2月18日、それまで、78~79円で推移していた円ドル為替レートがニューヨーク市場で82円に動いたのである。(現地では2月17日)原因は今もわかっていない。すでに、日付が変わり土曜日になっている日本のマーケットはしまっていて週明けを待つしかなかった・・・
土曜日と日曜日、TVの報道番組では80円台に戻ったことを歓迎するムードの中、エコノミストやコメンテーターもその後の急激な展開を誰も予測できず、週明けには70円台に戻るだろうなどと発言する専門家もいた。

週明けの東京市場は、その円安の流れが一気に加速し、1ドル87円となった。
最初は、実力以上だった円への評価が適正な水準になったと歓迎していた日本政府。この段階へきてもまったく危機感を持っていなかったのが、今、思えば悔やまれるところである。
政府が、マーケットになんらかのメッセージを発っするということも結局なかった。

政府は、震災から一周年に向けた様々な行事を行うべく各省庁はそれぞれに動いていた。
そうした中の3月7日、ついに1ドルが100円を越えた。

そして、震災から一年が経過した3月11日には1ドルは108円となっていたのである。

そのきっかけはわからないが、原因は誰の目にも明らかだ。
平成24年度予算の政府案は、震災復興名目に財源の確保もできないまま赤字国債を大量発行し、国債費の占める割合は、歳入の半分を占めている。
累積国債発行額もついに900兆円に達する見込みだ。

1ドル108円というこのレートは10年前の水準で考えると円高といわれた相場でもあるので、お気楽な政府はこのレートを歓迎していたのである。
まさか、わずかその数か月後に、1ドル360円という、固定相場だった時代と同じレートになると想像していた人はほとんどなく、エコノミストたちもあいかわらずで、政府に適切な提言をしたり、TV番組での効果的な発言をすることもなかったようだ。

しかし、この1ドル360円という為替相場は、昇と潤子の生活を一変させたのである。

2月18日、世田谷の空は、赤く染まった。
とてもきれいな夕焼けだったので、潤子は自分のブログ「世田谷の空」に画像をアップした。
「今朝、円が1ドル82円になりました。」
と短いコメントをつけて・・・

「これは、近未来の日本を設定した小説であり、登場する人物や団体は架空のものです。」

つづく・・・

それでは再び久慈の杜100km徒歩の旅一行の様子をご覧ください。

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↑ 近所の人たちがお見送りんび集まる中教頭先生が校門を開けていよいよ出立です。

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↑ ブルマートさんの前を通り、袋田の滝へと向かいます。

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↑ 思い出浪漫館の前までもう少し・・・

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↑ この道を進んでいけば袋田の滝です。

沿道に咲いていた花を・・・

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↑ キバナコスモスが咲きはじめています。

今日(9日)は大子町上郷の高徳寺様の施食会でした。

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町の文化財に指定されている四脚門の山門です。

この辺りで、TVドラマ「ガラスの仮面」のロケが行われました。

1999年9月30日放送の完結編『ガラスの仮面スペシャル』で、火の演技の撮影が行われた場所です。

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Silvermac

投資家、格付け会社によって世界経済が振り回されていますね。
何が起きるか分からない社会になりました。
by Silvermac (2011-08-09 20:14) 

mimimomo

こんばんは^^
皆さん元気に歩いていかれるのですね~ 頑張ってくださいね~
個人的にはどちらにぶれても何とか生活できるようにと、色々考えていますが、
国自体《政府》が無策では困ります。今の円高も行きすぎだとわたくしは思います。
by mimimomo (2011-08-09 21:23) 

枝動

むむ、...力作の予感。
by 枝動 (2011-08-09 21:29) 

かずっち

キャー
私写ってるし…
あっ!
住職!!
今朝ほどは子供達のお見送りご苦労様でしたm(__)m
甥っ子が歩いてるせいかジィーンときちゃいました

なんとか全員何事もなく完走できる事を祈るばかりですね
by かずっち (2011-08-09 22:27) 

青い鳥

近未来小説、目が離せません。
続きが楽しみです。
1ドル360円に戻ったら・・・あの時代の生活に逆戻りだけでは済みませんね。
by 青い鳥 (2011-08-09 23:12) 

Baldhead1010

金を金で買う。
馬鹿な人間社会になってきました。
人間の労働価値も金次第。
by Baldhead1010 (2011-08-10 05:33) 

レイリー

今後の世界経済には破綻しか待っていないのかなと考えてしまっています・・・
円がこんなに高くなるとは思ってもみませんでした。
人間社会は歪みだらけですね。
by レイリー (2011-08-10 06:07) 

袋田の住職

Silvermac さん 投資家、格付け会社などは、何も生産していない人たちです。
そうした人たちの動向で、必死に働いている生活が脅かされるのはやはりおかしなことだと思います。

mimimomo さん どんな状況になっても生き抜いていけるようにしていくことは大事ですね。
戦中戦後の修羅場を生き抜いてい来た先人の知恵は大事です。

枝動 さん 構想三年、ついにベールを脱ぐときが来ました。
公開するのはもう少し先の予定でしたが、現実が小説よりもドラマチックになりつつあるので、急きょアップしました。
ここ数日の状況を見て書いたものではありませんので・・・

かずっち さん 5日間で100km歩くって本当に大変なことなんです。
歩いた人でないとわかりません。
きっとたくましくなりますよ!甥御さん。

青い鳥 さん 360円に戻って一番困るのは食料事情だと思います。
今後の展開ではそのあたりをどうやって克服していくかが問題になります。

Baldhead1010 さん 食料を生産してそれを食べる社会から、
複雑怪奇な世の中になってきました。
金で金を買ってもそこからは何も産み出されてきません。

レイリーさん 私が生まれた頃は360円でしたからね。
円高の恩恵もありますが、それどころではないのでしょうね。
本当に怖いのはその先に待っている円安とハイパーインフレです。
そうならないための方策を政府や政治家にそして、国民の皆様にも考えて欲しいと思い、この記事をアップしました。
政争に明け暮れている場合ではありません。
by 袋田の住職 (2011-08-10 06:29) 

たいへー

金は使ってなんぼ。
使われるようになってはいけませんね。
とは言うものの、今は出来るだけ欲しい。^^;
by たいへー (2011-08-10 07:12) 

まめぞう(エルモ改め ^^; )

お久しぶりです。ご無沙汰いたしまして。m( __ __ )m
ドルも円も、現在両側が崖の危うい平均台の上を歩いている状態だと思います。
このまま放っておいたら共倒れになります。今やっている事のツケは次の世代に回るんですよね。あ~どうなることやら。

by まめぞう(エルモ改め ^^; ) (2011-08-10 10:12) 

旅爺さん

何でたった1ドルが360円も必要なんだよ~・・と昔思ったのが懐かしいです。
今76円台では企業は成り立たなくなるのでは? でも時の流れでいつの間にかきっかけ不明で80円台に戻るのでは。
by 旅爺さん (2011-08-10 10:20) 

okko

身につまされる小説。 どちらを見ても、いい材料が揃っていませんね。
数字は見ただけで頭が痛くなる方ですけど、世界中を覆っている不景気、何とかならないものでしょうか。小説の終章が楽しみなような、怖いようなです。
by okko (2011-08-10 14:53) 

okko

追 昨夜のニュースで、越前高田の大文字焼き用杉を格子に積み上げて、燃やしている光景を見ました。どの木にも字が刻まれていて、お話を聞いていたので、感慨深いモノを感じました。
by okko (2011-08-10 15:38) 

yamaoji

なんか、小説とは言え、あたらずも遠からじ、みたいですね、ズーっと前に、店に来て、お話してくださった、某丸紅の次長さんが、1ドル360円ってのは、内円の角度は360度だからよ、360円にしたんだよ、って話して帰ったこともありました。
by yamaoji (2011-08-10 15:38) 

momoe

おぉ!
紅天女の役作りに悩むシーンでしたかね?
こちらでロケしていたのでしたか。
by momoe (2011-08-10 17:09) 

弁慶

ガラスの仮面
漫画しか見ていませんが、こちらでロケが有ったのですか^^

by 弁慶 (2011-08-10 19:53) 

真凛

震災で世の中を振り返らないでいるうちに
ドルがものすごい事になっててびっくりしました。
安易に考えると「海外旅行する人は得」ってくらいですが・・・
しかし、そうやって世界を振り回している投資家って
どこにいるんだろう?というアホな事考える私。
by 真凛 (2011-08-10 20:02) 

袋田の住職

たいへー さん 株式や先物投資で金に振り回されている人をみると、可愛そうに思います。
欲望の果てに待っているものは安心ではないでしょうね。

まめぞう(エルモ改め ^^; )さん現代社会は本当に危ない橋を渡っているんですね。今回のことでそれが良くわかりました。

旅爺さん 私の中では物心ついたときが1ドル360円だったので・・・

okkoさん  この先、様々な困難が入りますが、それを乗り越え、家族の絆を深めていくという話です。
後味の爽やかなハッピーエンドにする予定です。
陸前高田の心が刻まれた薪ですね。

yamaoji さん 私もその話は聞いたことがありますが本当にそうなんですね。

momoe さん 水の演技の滝壺での撮影も大子町で行われました。

弁慶 さん 47巻がでたようですね。
翌日うちにありました。

真凛 さん マネゲーゲームといいますが、お金をもてあそんでは罰が当たると思います。
by 袋田の住職 (2011-08-10 20:32) 

こう

鎖国しても存続出来る様な態勢を整えないと、この国の未来が無くなるような気がして、ちょっと恐ろしくなりました。
by こう (2011-08-21 22:17) 

袋田の住職

こう さん このままいったら、国民が飢えることになりますね。
by 袋田の住職 (2011-08-22 20:41) 

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