SSブログ

常明寺さまの施食会と「散ったお花のたましい」 [法話]

昨日、12日は本寺である上金沢常明寺さまの施食会でこうしょうと一緒に随喜してきました。

31.jpg

↑ 二年前に落成した立派な本堂です。


32.jpg

↑ 地蔵堂には鳳凰などの彫刻があり、佐竹の五本骨扇に赤い月の家紋が描かれています。
佐竹秀義が源頼朝に帰順した時に賜った旗印に由来します。

33.jpg

↑ 本堂の龍の透かし彫りの彫刻は立派ですね。

昔、山津波で倒壊した旧本堂にあったものが新本堂の欄間にも使われています。

34.jpg

↑ 施食架には、うちと同様、東日本大震災物故者の慰霊のための位牌が祀られていました。

このようにして、日本中のお寺で、お盆にあたり、被災地へ祈りをささげています。

35.jpg

↑ 本堂は多くの参詣者で賑わっていました。
こうしょうも組寺の住職さん方と一緒にお経を読みました。

さて、11日の山門施食会の法話は、当院の被災状況や被災地支援についての話をし、
そのあと、金子みすゞさんの詩を紹介しました。

「遊ぼう」っていうと
「遊ぼう」っていう。

「馬鹿」っていうと
「馬鹿」っていう。

(以下略)

『こだまでしょうか』の詩は震災直後のACのCMですっかり有名になりましたね。

それと、『お花のたましい』という詩の一部

散ったお花のたましいは
み仏さまの花ぞのに
ひとつ残らず生まれるの

(以下略)

という部分を紹介しました。

全文をネット上に公開すると著作権の侵害になるので、
全文を味わいたい方はこちらのサイトをご覧下さい。

被災地で、遺族の方から僧侶がきかれることは、地震や津波で亡くなった人は、どうなってしまったのか?
ちゃんと成仏しているのか?
ろくな葬儀もできなかったことを悔やんでいる方、大事な家族が見つからず五か月たっても心の整理がついていない人が大勢いるのです。

そうした問いに我々は、どう答えたらいいのか?
何を言っても、慰めになどなりません。

できることは、一緒に悲しむことぐらいです。

死んでしまった人がどうなっているかという問いに、私は明確な答えを持ち合わせていません・・・

でも、金子みすゞさんの詩の一節

「散ったお花のたましいは
み仏さまの 花ぞのに
ひとつ残らず生まれるの」

という言葉を紹介することはできます。

野に咲く花にもイワシにも小鳥にも慈しみの心を寄せた詩人の言葉は我々の心を慰めてくれます。

そして、私も、「仏さまはすべての人を分け隔てなく救ってくれると思います。」
と・・・伝えたいと思います。


平成16年に山口県を梅花特派で巡回した時、一日余計に滞在し、金子みすゞさんの生誕の地、
長門市の仙崎を訪ねたことがあります。
その時、群馬県の曹洞宗の僧侶で酒井大岳老師が書いた金子みすゞさんを紹介する本を買って帰りました。

その時は、それほど印象に残らなかった詩ですが、今回の震災以降は心に訴えてくる詩となりました。
nice!(37)  コメント(16)  トラックバック(0) 

nice! 37

nice!の受付は締め切りました

コメント 16

mimimomo

成仏できていると思うことが心の安らぎに繋がりますね。
成仏できていると思いたいです。
by mimimomo (2011-08-13 08:56) 

弁慶

鈴と、小鳥と、それから私、 みんなちがって、みんないい

仙台の市民レベルのイベント「とっておきの音楽祭」の合言葉です。
『みんなちがって、みんないい』
健常者も障害のある人も音楽を通じて心のバリアーを取り払おう。
というストリート音楽祭で使われています。

金子みすゞさんの詩は、人の心を打ちますね^^

by 弁慶 (2011-08-13 09:45) 

tanaka-ma3

最近、手塚治虫のブッダを読みました。
by tanaka-ma3 (2011-08-13 09:51) 

湖畔の住職夫人

そこに方丈様がいらっしゃるかのような法話ですね。
ためになりました。
by 湖畔の住職夫人 (2011-08-13 13:33) 

yakko

こんにちは。
金子みすゞさんの詩はこころに沁みますね・・・
by yakko (2011-08-13 14:48) 

ちゃーちゃん

こんにちは‼
・・・み仏様の花ぞのにひとつ残らず生まれるの・・・なんて慈しみの有る詩でしょう・・・良い詩を紹介して下さって嬉しいです。
by ちゃーちゃん (2011-08-13 15:39) 

okko

みすずさんの詩では「豊漁」が好きです。仲間の鰯が弔いしているだろうな、・・
最近、ベジタリアンになりそうです。肉牛も、食べられるために生かされている、いろいろと考えさせられます。年でしょうかね。
by okko (2011-08-13 15:55) 

Silvermac

寺社建築費用は想像できませんが、特別でしょうね。
京都のお寺のふすま絵に鰯をテーマにした襖絵があるようですね。
by Silvermac (2011-08-13 16:47) 

テリー

誰にも、分け隔て無く、救いがあるというのは、いいですね。
by テリー (2011-08-13 18:20) 

水郷楽人

金子みすゞさんの詩はACのCMで初めて知りました。心に響きますね。
by 水郷楽人 (2011-08-13 20:49) 

袋田の住職

mimimomo さん 人びとのそうした思いを大事にしたいです。

弁慶 さん みんなちがって みんないい というのは斬新な考えでした。
私も子供のころにそういう言葉を誰かからかけて欲しかったです。
金子みすゞさんは、明治生まれなのにそうした考えを持っていたことに驚きます。

tanaka-ma3 さん私は卒論の参考文献で読みました。
なかなかよく描かれています。

湖畔の住職夫人 さん 人前で話すことが苦手なので、文字を弄しています。
誰でも知っているような話をしても聞いてくれませんので、
いろいろな本を読んで勉強するのも大事ですね。
でも、実体験からくる法話が一番です。

yakko さん 物の見方が斬新です。
参考になります。

ちゃーちゃん 本当に素晴らしい言葉だと思います。

okko さん 健康のためにはコラーゲンも必要ですので・・・

Silvermac さん 億単位になりますので、
少ない檀家さんでこれだけの本堂を建てるのは大変だったと思います。
ふすまにイワシの群れというのも斬新ですね。

テリー さん お釈迦様はお布施の額で人を差別したりしません。

水郷さん 他にも良い詩がたくさんありますので、読んでみてください。

by 袋田の住職 (2011-08-13 21:16) 

サァファイヤ

五か月たっても家族が見つからない、やるせないです。
かける言葉がありませんね。
by サァファイヤ (2011-08-13 21:40) 

袋田の住職

サァファイヤ さん 家族が見つからない人にかける言葉みつかりません。
そうした中でも、無神経に取材するTVクルーの態度は被災地の人を傷つけているようです。
我々も被災地へ行くときは、細心の注意が必要ですね。
特に、カメラを向ける時は・・・
by 袋田の住職 (2011-08-13 21:46) 

旅爺さん

おはよう御座いま~す♪
みすゞさんは読みの深い人でしたね。
当分猛暑が続きそうですが熱中症に気をつけてお過ごし下さいね。



by 旅爺さん (2011-08-14 08:20) 

ミッチー

福島の人々は寺をなくし夫を亡くし、仮設住宅では1日400円の食生活。エアコンがあっても使わない。寺同士の助け合いは不可能でしょうか
by ミッチー (2011-08-14 11:07) 

袋田の住職

旅爺さん 弱い立場の人や生き物にも慈しみの心を持った優しい人だったのでしょうね。
みすゞさんが時代に合わなかったのか、時代がみすゞさんにあわなかったのか・・・今になって、時代が金子みすゞを求めているような気がします。

ミッチー さん 津波の被害を受けた地域では、お寺が支援活動の拠点になってますし、供養の場でもあります。
しかし、福島の立ち入りができなくなっている地域の寺院はそれさえもできません。
私の、いとこのお寺は21kmでギリギリのところで頑張っています。
郡山や福島の避難先で活動している御寺院もあるようです。
本当に大変な状況の中でみなさん頑張っておられますので、
曹洞宗では宗門をあげて被災地のお寺や檀信徒・梅花講員の支援に取り組んでいます。
住職が亡くなってしまったお寺については、近隣の寺院が協力して助け合っているそうです。
by 袋田の住職 (2011-08-14 16:34) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

Facebook コメント

トラックバック 0