②近未来小説「円高の頃は、まだ、よかった・・・」その2 [小説]
今日(10日)は常陸大宮市山方の常安寺さまの施食会でした。
昨年10月に遷化された東堂老師の供養も行われ、こうしょうも随喜させて頂きました。
↑ 3月11日に東日本大震災の本震で被害を受けた石灯籠の修復工事の様子です。
続きは、昨日から公開している小説の二回目のあとで、
それでは、近未来小説「円高の頃は、まだ、よかった・・・」の二回目をお読みください。
卒 業
「杏子!早く起きなさい!」
「ママ、もうとっくに起きているよ。」
杏子は、昨夜遅くまでかかって友達に手紙を書いていた。いつもは母親に何度も起こされてやっとベッドを離れるのだが、今朝は緊張していたのか、目覚ましが鳴るまえに起きていた。
杏子は御茶ノ水にある私立の中高一貫教育が売りの東光学園に進学することになっている。
クラスメイトとは、今日でお別れだ。
今日、3月23日は、世田谷区立烏山西小学校の卒業式、潤子は幼稚園の卒業式を終えたばかりの千津子も連れて卒業式に参列することにした。
昇は年度末を控え忙しい。卒業式は潤子一人に任せたが、4月の入学式には出席したいと思っている。
来春、同じ小学校に入学する千津子に卒業式を見せておくことは、アドバンテージになるのではという期待もあった。
烏山西小学校がある千歳烏山は、潤子が生まれ育った場所である。
23区でありながら、仙川が流れ、畑があり、蝶やトンボが見られる烏山が好きであった。
千津子が卒業した円蔵寺幼稚園は、かつて自分が勤務していた幼稚園である。
このあたりは、関東大震災のあと、下町から移転になったお寺が並んでいて寺町と呼ばれるほどお寺が多い地域だ。
父、一男と母、百合子は近くの一戸建て住宅に、姉夫婦と一緒に住んでいる。
アパートと駐車場を経営しているので、悠々自適の毎日だ。
学校までは歩いて5分、杏子は母と妹と一緒に通いなれたこの道を歩くのが楽しく、緊張も自然とほぐれてきた。
拍手の中、入場する杏子、潤子と千津子を見つけて微笑んだ。
そして、担任の河合好子先生に名前を呼ばれ壇上に昇り、校長先生から卒業証書を手渡された。
この卒業証書は、栃木県の日光で行われたサマースクールの帰り、那須烏山市の和紙工房に寄った時、自分たちで漉いた烏山和紙に校長先生が手書きしてくれたものである。
「長谷川 杏子 小学校の全課程を終了したことを証する 」
66名の卒業生一人一人に卒業証書が手渡されいく。潤子は自分が卒業した28年前は一学年200人ちかくいて、5クラスあったのが、今は2クラスだけだ。
ちょっとさびしい感じはするが、一人一人にきちんと手渡される様子を見て、これも良いものだと感じていた。
教室に戻り、担任の先生やクラスの仲間とお別れをした杏子は、後輩たちが並んで見送る中を、校門へと進んだ。
近年、時代の流れか、この地区の小学校では、謝恩会や卒業生の保護者の集まりは行われない。
各家庭でそれぞれに子供の卒業を祝っている。
校門から出てきた杏子に千津子が声をかけた。
「おねえちゃん!お昼はお好み焼きでいい?」
「いいよ!広島風のね。野菜がたっぷり入ったとろりチーズミックスがいいな!」
「私もチーズがいい!だって、ちづこだもん♪」
「お母さん、それでいい。?」
お好み焼きも値上がりしたという話だが、お祝いの日だから奮発するか!
烏山商店街の中にあるお好み焼き「ふくろう」は広島焼き専門のお店である。
中はすいていた。時間が早いからだと思ったがそうでないのはなメニューを見て気づいた。
とろーりチーズミックスは1800円だって・・・
12月に来た時は1100円だったのに・・・
とろーりチーズミックスと海鮮ミックスそばを注文し、三人で分けて食べた。
「あ~、おいしかった!」
「また、こようね♪」
潤子は思った。来月はまた値上げの予定だという張り紙がしてあった。
もうしばらく、食べに来れないと・・・
そういえば、近所の烏山スーパーの小麦粉も値段が倍近くなっていた。
(つづく・・・)
※ 上記小説はフィクションであり、ここに登場する人物・学校等は架空のものです。
それでは、今日の作業の様子をご覧ください。
↑ 火袋と宝珠の部分は新しくしました。
↑ 慎重に作業を進めています。
↑ 火袋が取り付けられます。
↑ 宝珠を載せて完成です。
明日は、龍泰院の施食会です。
石灯篭の修復が間に合ってよかったです。
昨年10月に遷化された東堂老師の供養も行われ、こうしょうも随喜させて頂きました。
↑ 3月11日に東日本大震災の本震で被害を受けた石灯籠の修復工事の様子です。
続きは、昨日から公開している小説の二回目のあとで、
それでは、近未来小説「円高の頃は、まだ、よかった・・・」の二回目をお読みください。
卒 業
「杏子!早く起きなさい!」
「ママ、もうとっくに起きているよ。」
杏子は、昨夜遅くまでかかって友達に手紙を書いていた。いつもは母親に何度も起こされてやっとベッドを離れるのだが、今朝は緊張していたのか、目覚ましが鳴るまえに起きていた。
杏子は御茶ノ水にある私立の中高一貫教育が売りの東光学園に進学することになっている。
クラスメイトとは、今日でお別れだ。
今日、3月23日は、世田谷区立烏山西小学校の卒業式、潤子は幼稚園の卒業式を終えたばかりの千津子も連れて卒業式に参列することにした。
昇は年度末を控え忙しい。卒業式は潤子一人に任せたが、4月の入学式には出席したいと思っている。
来春、同じ小学校に入学する千津子に卒業式を見せておくことは、アドバンテージになるのではという期待もあった。
烏山西小学校がある千歳烏山は、潤子が生まれ育った場所である。
23区でありながら、仙川が流れ、畑があり、蝶やトンボが見られる烏山が好きであった。
千津子が卒業した円蔵寺幼稚園は、かつて自分が勤務していた幼稚園である。
このあたりは、関東大震災のあと、下町から移転になったお寺が並んでいて寺町と呼ばれるほどお寺が多い地域だ。
父、一男と母、百合子は近くの一戸建て住宅に、姉夫婦と一緒に住んでいる。
アパートと駐車場を経営しているので、悠々自適の毎日だ。
学校までは歩いて5分、杏子は母と妹と一緒に通いなれたこの道を歩くのが楽しく、緊張も自然とほぐれてきた。
拍手の中、入場する杏子、潤子と千津子を見つけて微笑んだ。
そして、担任の河合好子先生に名前を呼ばれ壇上に昇り、校長先生から卒業証書を手渡された。
この卒業証書は、栃木県の日光で行われたサマースクールの帰り、那須烏山市の和紙工房に寄った時、自分たちで漉いた烏山和紙に校長先生が手書きしてくれたものである。
「長谷川 杏子 小学校の全課程を終了したことを証する 」
66名の卒業生一人一人に卒業証書が手渡されいく。潤子は自分が卒業した28年前は一学年200人ちかくいて、5クラスあったのが、今は2クラスだけだ。
ちょっとさびしい感じはするが、一人一人にきちんと手渡される様子を見て、これも良いものだと感じていた。
教室に戻り、担任の先生やクラスの仲間とお別れをした杏子は、後輩たちが並んで見送る中を、校門へと進んだ。
近年、時代の流れか、この地区の小学校では、謝恩会や卒業生の保護者の集まりは行われない。
各家庭でそれぞれに子供の卒業を祝っている。
校門から出てきた杏子に千津子が声をかけた。
「おねえちゃん!お昼はお好み焼きでいい?」
「いいよ!広島風のね。野菜がたっぷり入ったとろりチーズミックスがいいな!」
「私もチーズがいい!だって、ちづこだもん♪」
「お母さん、それでいい。?」
お好み焼きも値上がりしたという話だが、お祝いの日だから奮発するか!
烏山商店街の中にあるお好み焼き「ふくろう」は広島焼き専門のお店である。
中はすいていた。時間が早いからだと思ったがそうでないのはなメニューを見て気づいた。
とろーりチーズミックスは1800円だって・・・
12月に来た時は1100円だったのに・・・
とろーりチーズミックスと海鮮ミックスそばを注文し、三人で分けて食べた。
「あ~、おいしかった!」
「また、こようね♪」
潤子は思った。来月はまた値上げの予定だという張り紙がしてあった。
もうしばらく、食べに来れないと・・・
そういえば、近所の烏山スーパーの小麦粉も値段が倍近くなっていた。
(つづく・・・)
※ 上記小説はフィクションであり、ここに登場する人物・学校等は架空のものです。
それでは、今日の作業の様子をご覧ください。
↑ 火袋と宝珠の部分は新しくしました。
↑ 慎重に作業を進めています。
↑ 火袋が取り付けられます。
↑ 宝珠を載せて完成です。
明日は、龍泰院の施食会です。
石灯篭の修復が間に合ってよかったです。
2011-08-10 20:26
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コメント(16)
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こんばんは!日韓戦は勝ったようですね!!
by シラネアオイ (2011-08-10 22:47)
浄土真宗は西日本が多いんですね。
by Baldhead1010 (2011-08-11 05:32)
やはり、石塔は重い・・・よく分かります。
by たいへー (2011-08-11 07:20)
施食会に間に合って良かったですね。
by Silvermac (2011-08-11 07:53)
高知はよさこい鳴子踊りの間最中。うまい踊りの上に観客に訴える姿がうれしかったです
by ミッチー (2011-08-11 08:43)
先週行った栃木県市貝町辺りも春先より復旧工事が盛んな様子でした。
やっといろいろなことに手がつくようになったということでしょう。
さて、今のうちに海外の製品を買って置きたいが、先立つものがないし。
by 春分 (2011-08-11 09:15)
カドの欠けた所が震災の恐怖を教えてくれますね。円高だと輸入うはうはだから小麦はねぇ・・・(爆)円安だの不作だの戦乱だので輸入が出来なくなった時のために、国内の農業を維持して十分応援してかなくちゃいけないんですけども、その場限りの対策ばっかで地に足がついていない。だめだこの国の為政者は。
by ぽとす (2011-08-11 09:54)
墓石大変ですね、
地震、津波、原発の怖さを知ったと
皆さん感じたと 思います。
昨日 気仙沼へ慰問行って来ました、
笑顔を与え 私は力を頂いて来ました
皆さんの笑顔に 感謝、感謝です。南無〜
by 甘味 (2011-08-11 11:14)
私の勤務先は輸出がほとんどなので一気に雲行きが怪しくなってきました。。。
仕事は大量に受注していますが既に様々な問題が発生しています。。。
灯篭修理はとても大変そうですね。
一つ一つの部分が重いのと、コレだけ暑いと焼けてしまって熱いでしょうね。
やはり石屋さんは専門なので上手い機器を揃えてありますね!
by レイリー (2011-08-11 15:24)
小説に出てくる烏山、個人的に懐かしいです。中学が仙川にありましたから。
親友には、お寺さんの娘もいましたし・・・
遠回りをして大文字さんも、越前高田の木が使われることになりましたね。
by okko (2011-08-11 16:36)
もうすぐお盆ですものね。
私も帰省してご先祖様をお迎えし、両親を守ってくれた事に
手を合わせて感謝したいと思ってます。
by momoe (2011-08-11 19:55)
シラネアオイ さん 完勝でした!
札幌の地が良かったのでしょか?
香川と本田のゴール前でのパフォーマンスが素晴らしかったです。
Baldhead1010 さん 茨城県は浄土真宗ゆかりの地ですが寺院は少ないですね。
たいへー さん これだけ重い石を地震のパワーはいとも簡単に動かしてしまいます。
重い物の方が、地震の影響を受けるようです。
Silvermac さん なんとか前の日の工事で間に合わせて頂きました。
ミッチー さん 福島などもそうですが、東北ではyosakoiが盛んです。
高知の支援がうれしいですね。
春分 さん 円安になったらとても海外のものなど買えなくなりますからね・・・
ぽとす さん 欠けた部分は震災の記憶を後世に伝えるためそのまま残すつもりです。
食料自給率がカロリーベースで40パーセントを切ったというニュースが奇しくも今日流れてました。食料だけは自給しておかないと、いざという時、国民が飢えることになります。国民を飢えさせないのが政府の最低限の勤めです。
ですから、しっかりと農業政策に取り組んで欲しいと思っています。
今の政府は農政よりも市民運動に傾注していますので期待も何もありません。
甘味 さん 気仙沼のお坊さんにあってきましたか?
被災地の皆さん、喜んでくれたと思いますよ!
レイリー さん 為替問題は、製造業業にとっては大変な問題ですね。
それがマネーゲームによって起こっている点に納得は行きません。
okko さん 小説を書くにあたっては、土地勘が必要です。
私は、昭和40年頃の千歳烏山・給田あたりに土地勘があります。
わたしは、これが、問題化して、皆さんに考えて頂けたことはよかったと思います。
被災地の方々の心をもてあそぶかのような展開でしたが、実は日本各地でこうした理不尽なクレーム事象が発生しています。
一部の人のクレームでなく、多くの人の常識的な考えによって判断される日本であって欲しいです。
momoe さん お盆に関する記事は次記事にアップしました。
手を合わせることは大事ですね。
by 袋田の住職 (2011-08-11 21:06)
当地でもお寺さんの灯篭や石塔がかなり倒れて、
修理に莫大な費用がかかったと、最近聞きました。
あらためて地震の被害のひどさを実感しました。
by きまじめさん (2011-08-12 00:44)
きまじめさん さん 被災三県だけでなく、青森、茨城、栃木、千葉、東京、神奈川、静岡、長野など広範囲の寺院や霊園が石塔などに被害が出ています。
by 袋田の住職 (2011-08-12 22:25)
石灯篭は良くみると芸術作品ですね。
元にもどってよかったです。
by こう (2011-08-21 22:23)
こう さん けっこう微妙なバランスで建てられています。
by 袋田の住職 (2011-08-22 20:42)